ジロの事故

ジロの第三ステージで、レオパードトレックのワウテル・ウエイラント選手が落車、落命したとのニュース。

ランス引退以来、ロードレースはほとんど見ていなかったのだけど、グラン・ツールでのレース中の死亡事故は、1995年のツール・ド・フランス以来のような気がする。

1995年はインデュラインが5連覇をかけた年で、ランスはまだモトローラのジャージを着ていた。

このツールで、モトローラのファビオ・カサルテッリが激突死する事故があった。

その時も今回と同じく、次のステージは競争なしの追悼ステージになったのをよく覚えてる。

淡々と、黙々とゴールしてくる選手の姿は本当に異様だった。

当時のプロロード選手はほとんどヘルメットを被っていなかったんだよね。

暑過ぎるという理由で嫌がる選手が多かったみたい。

確かに当時のヘルメットは穴があまり空いてなくて、しかも重かった。

でも、カサルテッリの事故を契機に義務付けられたと記憶する。

プロロードで常用されるようになってからヘルメットは急激に進化して、今のようなカタチに至っているのも皮肉。

ロードレースって華やかなんだけど、こういう時に怖さを実感する。

落車で解放骨折した映像も見たことがあるけど、防護具はヘルメットだけ。

それで100km近い速度で狭くてガタガタな山道を下るのだから、かなり無謀なスポーツなんだよね、現実には。

ウエイラント選手の映像を見た限りでは、ほとんど即死に見えた。

この事故は機材に直接関係ないようだけど、自転車が進化しても死のリスクは全然減っていないことを改めて思い知らされる。

しかも機材は安全性を高めるどころかリスキーな方向に進化している。

SuperSixもそうだけど、最近のバイクはムチャクチャ軽いくせに下りが怖くないんだよね。

特にカーボンバイクの性能向上には本当に驚かされる。

ただ、今までできなかった走りができるようになれば、リスクも大きくなる。

軽いバイク、良いバイクに乗る人ほど、サイクルスポーツの恐ろしさを知るべきだね。

ウエイラント選手の映像は凄惨だから無理強いはできないけど、スピード狂は一度見たほうがいいかもしれない。

MTBだって同じこと。

昔のMTBは乗り方の進化に機材が追いつかなくて、よく折れてた。

どこが折れるって、ヘッドがもげちゃうのよ。

そうするとやっぱり顔面から地面に激突するわけ。

これまでに折れたフレームはたくさん見たし、重傷事故もいくつも見た。

その恐怖が頭の片隅から離れなくて、自然と無理はしなくなったし、自転車を壊さないようにしていた気がする。

今のMTBは性能がいいから、機材が雑な乗り方を吸い取ってくれる。

だから楽しい。

反面、リスクを忘れるというリスクが出てきた気がするね。

どんなに機材が進化しようとも、MTBは本質的に危険な自転車なんだ。

そしてオレにはMTBの才能はないと自覚している。

だから今でもリジッドフォークでできないことはしないようにしている。

機材が良くなってるから、それでも自然と速くなった、上手に乗れたと感じる。

オレはそれで充分満足だよ。

プロ選手と同じ機材が買えちゃうのも確かに自転車趣味の良さでもあるけどね。

ただ、速い人、上手い人はバイクに負担をかけない乗り方が自然とできるんだ。

それに、壊れにくい組み方も知っている。

だから超軽量バイク、超軽量パーツを使っていられるし、壊さない。

そして何より、怪我をしない。

これは昔から変わらない。

信じるものは救われない。

これからも無事に自転車と付き合っていきたいと思う次第。

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9 Responses to ジロの事故

  1. NOBRAND says:

    >あっきさん

    お、リクイガスにしたんですね!
    下りが怖くないし、スピードは伸びるし、乗り心地良いというSuperSix。
    絶対買ってよかったって思えると思いますよ!
    私みたいにチンタラ乗るやつですら思えます(笑!
    自分の身は自分で守るしかありませんからね。
    私は無事之名馬を目指したいです。

  2. あっき says:

    来月には、ウチもロード(超6LIQ)が納車となりますが、

    確かに何処を走るにしても、軽さは武器でもあり逆に言えば、ちゃんと
    制御出来なければ、危ういですね。

    車で言えば最高位の競技車に乗ってるようなものですし、そのような車
    はマシンがシビアで素人じゃ動かせもしないだろうけど、自転車は誰で
    も乗れてしまう。

    ウチも勘違いや過信することなく、乗って行きたいと思ってます。

  3. NOBRAND says:

    >komezouさん

    いえいえ、いつも勉強になります。
    私の記憶も相当いい加減なもので・・・(^^;
    ありがとうございます!

    トレック、サーベロの姿勢はいい傾向ですね。
    ヒンカピーも怖かったでしょうね・・・・。

    実際、実験はそうとうやっていると思うのですよ。
    事故が起きたら裁判沙汰でしょうし。
    私自身、メーカーにいるのでそのへんは理解できるんです。
    ただ、試験はあくまでも試験という感覚も残ってしまいますね・・・。

    キャノンデールの話をすれば、ヘンテコな設計だけでなく、頑丈さも売りでした。
    最近はどうなのか、SuperSixやFlashを持っているくせに疑っている自分がいます。
    そのくらい軽いのですよね。
    私自身の乗り方を考えた上で乗っていますが、実際どうなのか考えてしまいますね。
    やはり、試験を公開してほしいですね。

    今回の事故の映像は、カサルテッリの頃と違ってクリアですから強烈でした。
    ドクドクと鼻から流れ出る大量の血は、忘れられないです。

  4. komezou says:

    TVに横たわる選手の映像が入って来た。
    顔面血だらけでしたが、状態で普通の落車?でも動いていない。
    直ぐに救護が到着し暫くし、心臓マッサージをやっている画像。
    瞬間。。。背筋がピッっと引き締まってしまいました。

    やはり、亡くなってしまいましたね。
    最悪だったのは、彼には9月に第一子が生まれる予定だったと言う事。
    奥様ではなく恋人と報道されていましたが、哀しみは計り知れないものだと思います。
    彼の死が周りに与える影響は大きいかも知れません。

    私も過去に友人や義弟を亡くしていますが、ぽつんと空いた空間を埋めるのってどの位掛かったかな〜?
    第4ステージで去ったレオパード・トレックのメンバーはともかく、ガーミン・サーベロ在籍のタイラーファラーである、この将来有望な選手であるファラーはウェイラントの大親友だったそうだ、チームこそ違えども同じ地域に居住し練習を共にする仲だったそうで、その親友を亡くしたタイラー・ファラーの胸中を察するとかなり心配である、昨日の追悼ステージは哀しみで一杯だったろう、彼はいつレースに復帰出来るのだろうか?
    チームからはマッサーが1名、ファラーを支える為に彼と一緒に離脱し帯同する事になったそうだ。

    ワウテル・ウェイラントの御冥福をお祈りするとともに、タイラー・ファラーの早期復活を願いたいと思います。

    今回の事故はマシンの軽量化が仇となった訳ではないのですが、軽量=速いと言う図式はもう変わっていると思うんですよ。
    UCIで決められた最低車重は6.8kg、今はどんなフレームを持ってしてもかなり叶えられる車重になっている筈。
    そしてNOBRANDさんが心配されていた強度の問題。
    軽くなると心配と言うのはあるのですが、以前レフティの強度を教えて頂いた感覚でああ言う実験的な物を見ないと安心出来なくなっているのかも知れませんが、あの映像はかなり納得の行くものでした。
    うちは自動車会社なので、強度試験やらいろいろ過剰な位に実験しているので、メーカー的な思考から自転車メーカーはどうなんだろうと思っていたのですが、トレックやサーベロの様に強度試験を公開しているメーカーもあります。
    トレックは以前パリ〜ルーベでヒンカピーのマドンのヘッド&フォークが折れた事故があったのですが、公開したのはあれ以降だったかな?
    サーベロ購入の決め手になった訳ではありませんが、年に1〜2回の公開強度試験はかなり有名ですが、内容を見るとあれ程やっているメーカーは無いのでは?と思いました。
    サーベロの検査機構は世界一厳しいそうなので、それを聞くまではあの細いシートステーで大丈夫?と思ったりもしましたよ。
    もう1つは、中国の方には失礼な言い方になってしまいますが、サーベロは中国製です。
    最初はどうして中国製?カナダ製や台湾製じゃないの?何て思いましたが、ラインから抜き打ちで強度試験をする事で、全体の品質向上を狙っているそうで、品質管理は徹底されているとの事。
    いつ抜かれるか判らない状態なのでラインも手を抜けない状況になり。。。と言う事でしょうね。
    カタログにある図面や写真では判らないですからね。
    サーベロは小さいメーカーながらも、ユーザーに見える方向で努力して来たメーカーだと思います。
    次回フレームを買うかどうか?は判りませんが、こう言う姿勢は今後ユーザーの選択にも影響をするような気がしています。

    ヘルメットの件ですが、自分の所にも書いたのですが2005年から義務化だったかと思います。
    2002年のジロまで走っていたマルコ・パンターニがヘルメットを冠っていたのを見た事がないです。
    2003年のラルプ・デュエズのマヨの激走時はサイクルキャップだったんです。
    2004年は山岳ゴールの場合は、最後の山岳の手前でヘルメットを回収するアシストの姿が見られたりしていましたし、ラルプ・デュエズの山岳個人TTの時にはヘルメットを冠っていない選手が多かった気がしました。
    カサルッテリの事故以来、装着義務ではなく装着する人が増えたのだろうか?と思いますが、装着するのを嫌がった伊達男チッポとか?いろいろいましたよね。
    事故の話のコメントなのに長々と書いてしまい、すみませんです。

  5. NOBRAND says:

    >矢野さん

    コメントありがとうございます!
    初めてコメントいただいたのに重たいネタですみません。

    自転車業界も商売ですから、危ないことをあまり言わないんですよね。
    でも命を乗せる乗り物ですから、もっとショップやメーカーもリスクをきちんと表明すべきなんです。
    そういう動きがほとんど見えてこないのが、自転車業界の底の浅さというか。

    第三者機関の検査に合格なんてのは、裏を返せばそれだけ不安視する声が多いということでもあるわけです。
    でも、第三者機関は我々の乗り方も体格も知りません。
    決められた試験に合格した、ただそれだけの意味しかありません。
    ましてや工学は自然現象を端折って扱う学問です。
    当然実験はするのでしょうけど、絶対壊れないと保証するわけじゃない。
    そこに権威付けを持ってくるという風潮。
    詭弁にすら思えてきますね。

  6. NOBRAND says:

    >マナブさん

    仰るとおりだと思います。
    ホント、人間はすぐ死んでしまう。

    今のバイクは性能がいいだけに、機材任せでスピード出すと非常に危険だと思います。
    SuperSixEvoの軽さを見ると、もう危ない領域に来ていると思えてなりません。
    軽さはリスクなのに、そのへん考えて扱える人がどんどん減っている気がします。

    カーボンはここ2~3年で用途が急拡大し、価格も下がっているようです。
    この傾向はまだ続くでしょうから、カーボンバイクの低価格化も進むかもしれません。
    その時が怖いですね。

    ウエイラント選手、鼻から大量の血がドクドクと流れ出ていました。
    頭蓋骨の中をやられたのか、生きている気配はありませんでしたね。
    プロ選手ですから我々と同じ土俵では語れませんが、死ぬために走っていたわけじゃないはず。
    ご本人も死に切れないでしょう・・・。

    MTBでケガしたら、一緒に走っている人みんなが残念な気持ちになる。
    無謀な走りでケガをしたら、同情されるのではなく謝罪しなくてはいけない。
    昔読んだ八代さんの本に書いてあったことは、今でも正しいと思っています。

  7. 矢野浩一 says:

    賢者は歴史に学ぶということを思い出した。自制心を持って楽しみたいですね。

  8. 矢野浩一 says:

    私も大きな事故は経験してませんが、文面から自転車のネガティヴな側面は充分汲み取れました。愚者は経験から学ぶけど

  9. マナブ says:

    夜FBでやんややってる時にkomezouさんから第一報を聞いて、
    背筋が寒くなるような思いがしたよ。

    これはオートバイ乗りとしての経験から言わしてもらうと、
    人間って生き物は、予想以上にもろい生き物で、
    すべての生き物の中で最弱に位置する動物なんだよね。
    体重に対して、それを支える骨が異常に弱い。
    だから、ちょっとした衝撃でもすぐに死んでしまう生き物なんだよ。

    オートバイ事故でも、え?こんなんで死んじゃうの?
    っていうくらい、低速で建物に突っ込んだのに死んでしまう。
    ヘルメットの中には豆腐が詰まってる、くらいに思わないと
    ホントにシャレで済まなくなってしまうのが人間の弱さ。

    ワウテル・ウエイラント選手の映像は見ていないけど、
    レーススピードでの衝突事故だから、その衝撃は一命を取り留める
    ことが難しい衝撃度であることは、容易に想像がつく。

    だからこそ、我々は万が一の事故に対して神経質にならないと行けないと思う。

    無理はしないこと。迷ったら行くな。

    これが最低限のルールだよね。

    ワウテル・ウエイラント選手のご冥福をお祈りいたします。

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