灼熱地獄、全日本選手権

全日本MTB選手権、結果については皆さんご存知の通りですね(^^)
1. 山本幸平、2. 平野星矢、3. 小野寺健、4. 山本和弘
というもので、幸平選手は4連覇を達成した。

前半は星矢選手がリードする展開で、しかも鮮烈だった。
本当に王座を奪うかもしれないと思った。
しかし、幸平選手はジワジワと差を縮め、ゴリっと抜き去った後は一人旅。
昨年のブッチ切りとは違うスタイルでの、圧倒的な勝ち方。

天候は晴れ、ただし、灼熱地獄
今回はFlashを持っていったのだけど(Cコースデビューさせた!)、日なたに置いておくと直射日光で溶けるんじゃないかと思うほど熱くなるのだ(^^;
コースも当然ドライで、砂塵が舞うダスティな状態。
いくら夏のレースとはいえ、あまりに過酷過ぎる条件に思えた。

スタート前、オレはカズ選手には会えなかった。
この日に顔を見たのは、スタートライン上。
ファインダー越しに見ると、1ヶ月前のJ1の時とは全く違う顔がそこにあった。

顔立ちが精悍なこともあって、スタート前はいつも険しい表情になるカズ選手。
普段のスイートな彼は誰なんだ?と思えるこのギャップも、山本和弘という選手の魅力でもある。
とはいえ、今回の凄味は別次元。
減量中のボクサーの如く、眼光がギラギラとしている。
このレースに賭ける思いは、話さなくてもよく判った。

スタート位置は幸平選手と隣同士。
兄弟ゲンカをしたことがないという仲良し兄弟も、この時は一切の会話なし。

そしてスタート!
幸平選手が飛び出し、小野寺選手もいいスタートを切った様子。

カズ選手は丁寧気味のスタートだったのか、7番手あたりの位置で最初の長い登りを駆け上がっていく。

1周目の中盤、ゲレンデ中央部。
ここは短かくも急な登り返しの頂上。
この時点で、1位星矢、2位幸平、3位小野寺、4位斉藤、5位カズ、6位辻浦、7位武井。
思った通り、選手が瞬間的なパワーを出し、ダイナミックなフォームで登ってくる。
光と影の濃さから、いかに強烈な日差しか判ると思う。

2周目、コース最初の長い登坂。
どの選手も汗をボタボタ垂らしながら登ってくる。
小野寺選手が落ち、斉藤選手が3位に上がる。
カズ選手は落ちてきた小野寺選手をロックオン、ラインを外して一気に食らっていく。

強烈な日差しが選手たちの背中を焼く。
カズ選手の黒いジャージも熱を貯めていく。

最初の登坂から一度下りきり、再び登り返した水平区間。
この時点で、1位星矢、2位幸平、3位斉藤、4位武井、5位辻浦、6位カズ、7位小野寺。
さっき抜いた小野寺選手は離れていかない。

ゲレンデ中央のテクニカルな下りセクションを終えても、2者の距離は変わらない。
カズ選手が小野寺選手のペーサーになっている格好。

3周目、ゲレンデ中央のテクニカルセクション上部。
下りだけど、木の根が大きな階段になっている危険地帯。

目の前で転げ落ちた選手は、落ちる直前に「脚が攣った!」と叫び、そのまま転落していった。
疲労状態では、緊張で脚に力を込めただけで攣ることがある。
見ているだけのオレですら、ゲレンデを走り回って足が攣りそうだった。
このセクションでミスするカズ選手ではないけども、今日はとにかく暑い。
疲労で転倒しないように祈りつつ、シャッターを切る。

富士見名物、リフト下の直登。
時間は13:39、太陽はほぼ真正面から襲ってくる。
勾配も急なので、熱源に向かって登るような感覚なのかもしれない。

4周目、バックストレート。
リフト下の登りに向かって、ゲレンデ中央を高速で下ってくる。
この時点で、1位星矢、2位幸平、3位小野寺、4位武井、5位カズ。
ここまでに斉藤、辻浦の両選手は落ちていったらしい。
今回は相手と競り合うというより、気温と競り合うようなサバイバル戦になった。

5周目、フィードゾーン直後。
幸平選手がついにトップを奪い返す。


小野寺選手はジャンプアップして3位に再浮上、4位に武井選手が続く。
この日の小野寺選手はとにかくタフだったように思う。


カズ選手は少し間を置いて続く。

駐車場に下るセクション、闘志は失っていない。

リフト下のヒルクライムを駆け上がる。
写真が暗いのは、強烈な逆光のせいでカメラが勝手にこうしてしまったから。

リフト下を登り終え、上部水平区間をたった一人で下る。
王滝を思わせる殺伐としたこのエリア、スペクテーターは上がっていけないんだ。
遠くに聞こえるDJの声がタイヤの音で消されるような場所。
望遠一杯で撮ったのでピントは甘いけど、選手の孤独を見る思いがした。

今シーズンのカズ選手は、我々の期待にピシリと応える結果を残してきた。
彼の夢、スポンサーやファンの期待、その両方が作用しあって彼は今日も戦っているし、オレもここに立っている。
場を同じくしていること自体が大きな意味を持つはず。
そのカズ選手が苦しんでいる。
下りてきたカズ選手に思わず声をかける。
カズ君、上に行こう!
上位を目指せというだけじゃないんだ。
もっと上のステージに行こうと声をかけたかった。

COGの人たちは、リフト下の登坂で「カズ頑張れ!」とパワフルな応援をしていた。
これを下から見ていて、素直に感動したよ。
カズ選手が通り過ぎるたびに、わっせわっせとテクニカルセクションと行ったり来たり。
疲れ知らずのキッズたちについていく弐の槍さん、お疲れ様でした(笑

6周目。
ワールドカップの画面にも映ったCOGの日の丸の横を、カズ選手が登っていく。
キッズが持っているうちわも、メンバーが自作して配られたもの。

この赤いTシャツの方は、片山梨絵選手のファンの方だと思います。
「お兄ちゃん頑張って!」
と声をかけていた。

6周目最後の直滑降を、鬼の形相で駆け下りる。
出せるものを全て出している男の顔。

ファイナルラップ。
幸平選手が4連覇を達成、会場の興奮が最高潮を迎える。

ちょうどその時、カズ選手がリフト下のバックストレートを駆け抜けていた。
皆の視線が幸平選手に向く中、カズ選手を凝視する少年がいた。
少年、いい感性してるじゃないか(笑

カズ選手の登る山は本当に大きい。


キャノンデールのスタッフ、そして若きキャノラーであり、熱烈なカズファンのいっくんも声援を送る。

全ての視線が幸平選手に集まるゴールエリア。
奥さんはじっとゲートを見つめていた。

そして、カズ選手は4位でフィニッシュ。
UCIポイントは60を取得したけど、もちろん喜んでいない。


動きを止めた時に感じる熱のせいなのか、今にも倒れるのではないかという状態。

レースに勝つこともあれば、負けることもある。
カズ選手はMTBレースを職業とすることを許された、言わば選ばれた存在。
そして実際、今シーズンは完璧な結果を出し続けてきた。
どれだけのレースを戦ってきたか、もう一度これを見て欲しい。
カズ選手としても、これだけのレースを走るシーズンは初めてじゃないだろうか?

国内外含め、これまでに何人のMTB選手を見てきたか判らないけど、山本和弘という選手はオレにとっても例外中の例外。
それはカズ選手の人間性であり、我々にしてくれたことでもあるわけでね。
たぶん、ほとんどのカズファンはそうなんじゃないかな?

レース後も、オレはカズ選手とは話せなかった。
でも、堅い握手はしたんだよ。
労い、そして激励。

カズ選手自身には忸怩たる思いが溢れていると思うけれども、オレの思う事は何も変わらない。
2011年の全日本は終わったけど、まだまだオリンピック予選は続くのだ。
カズ選手、とことん上に行こう!

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10 Responses to 灼熱地獄、全日本選手権

  1. NOBRAND says:

    >ichiさん

    こんばんは!
    弐の槍さん、息子さん達にすっかりなつかれたようですね(笑
    カズ選手が探してくれていたというのは、帰宅直前に知ったんですよ。
    今回はなぜかカズ選手や奥さんと会話していないのです。
    レース中も走り回ってたので、ichiさんともあまりお話できなかったのは残念でした。
    渋滞回避の新ルートを探索するつもりだったこともあり、早めに引き上げました(^^;
    またご一緒させてくださいね!

  2. ichi4you says:

    こんにちは!
    いやーレース楽しかったですね。
    暑くてバテバテでしたが、子供達が弐の槍さんにくっついて応援してたので、
    自分は好き勝手に応援できました(^^;;)
    弐の槍さん様様です。
    KAZUさん夫妻はレース後、NOBRANDさんを探してましたよ!
    僕もNOBRANDさんともっと話したかったです!
    でも、あの日は凄い渋滞なので皆さん早めに退散してましたね。
    また9月にご一緒しましょう!

  3. NOBRAND says:

    >ヤノさん

    初めてでしたか!
    中央道の渋滞も何とかして欲しいですね~。
    でも、ヤノさんの笑顔もいつにも増して楽しそうでしたよね!
    MTBのレース、事前にコース回ってみたい場所を絞るといいですよ。
    特に男子エリートは、下りの速度、登りのパワー、何もかもが凄まじいです。

    私、この日はカズ選手とマジで一言も話してないのですよ。
    これには自分でもビックリしました(笑

  4. ヤノ says:

    初めてMTBレースの観戦に行きました。
    渋滞でフルに観ることはできませんでしたが、雰囲気は充分楽しめましよ。

    NOBRANDさんとカズ選手の固い握手は言葉が少なくても深い信頼関係を感じましたね。

    他の選手は羨ましいんじゃないですか、ここまで応援してくれる人がいることを。

  5. NOBRAND says:

    >どMさん

    いつもご覧いただきありがとうございます。
    いや~、暑かったです(^^;

    カズ選手は応援したくなる選手なんですよね~。
    きっと皆さんも同じだと思いますよ!
    現在のキャノンデール・ジャパンには、MTB選手はたった1人しかいません。
    しかしファンを入れたら、たぶん日本一大きいチームだと思います。

    レポートも2月のキプロスから続けていますが、ご覧いただく方もどんどん増えていきました。
    今の日本でMTBは下火と言われていますが、選手は見応えのあるレースを展開しています。
    この拙文でレースに足を運びたくなったとのことであれば、とても嬉しく思います!

  6. NOBRAND says:

    >イシムさん

    来たかったでしょ~(笑
    颯爽と勝利する姿もカッコいいけど、プロ選手は苦しいレースでの迫力も桁違い。
    まさに激闘、サバイバル。
    迫力は今回が一番あったと思います。
    弐の槍さんは癒しキャラになりつつありますね??(笑

  7. NOBRAND says:

    >弐の槍さん

    いやいや、ミソありがとうございました!
    日の丸ミッションもお疲れ様でしたな!
    弐の槍さん、ichiさんの息子さんたちに人気あるんですね~。
    一緒に走っている写真は実に美しい!

    何気に私のFlashのCコースデビューもお立ち合いいただきましたね(笑。
    写真はあとでFBあたりに載せますよ~。

    ステムのサインは爆笑しました(笑
    実に弐の槍さんらしい!

  8. どM says:

    NOBRANDさん、応援&レポートお疲れ様でした。

    当日の状況の過酷さ、レースの緊張感がひしひしと伝わってくるレポートに感動しました。
    それはきっとNOBRANDさんが真剣にレース観戦、応援をしていること、KAZUさんを心から尊敬して追いかけているからなんでしょうね。呼んでいる私にもそれは伝わってきました。

    今回のレポートを読ませていただいて、実際に現地で応援したくなりました。
    真剣に私たちの期待に応えようと努力しているKAZUさんに対して真剣に向き合わないと失礼に当たるなと・・・。
    現地で、実際にこの過酷さ、緊張感を味わいたいと思います。

    KAZUさん、お疲れ様でした。
    スケジュールを見ると来週もレースがあるようですね。闘いは続きます。
    どうぞ、お体だけは気をつけてください。

  9. イシム says:

    一気に読みました!
    灼熱の中での激闘、
    応援も、撮影も、お疲れ様でした。
    KAZUさんの走りの脇で
    弐の槍さんの走りの写真。ほのぼのしました♪

  10. 弐の槍 says:

    灼熱でしたね。路面の乾燥も凄く、土埃が、暑さに拍車をかけていましたね。

    応援旗を持って、ゲレンデをお子様たちと走り回っていましたが、私の子供と勘違いされて、色々と話しかけられたりしました。
    特にアンカーの応援団の皆様には、将来お子さんにもMTBで・・・(苦笑)
    全力を出したKAZUさんの走りに感動を頂きました。ついでに、ステムにサインも貰っちゃいましたけど(笑)

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