ツール・ド・三陸2013(当日)

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ツール・ド・三陸行きの続きです。
宿は南三陸町の歌津という地区にあり、小さな半島の先端だった。
太平洋から上がってくる朝日がきれいと聞いた。
この日はちょっと雲が多かったけど、十分に雄大な日の出でありました。

この辺りは静かな港町という雰囲気。
こういう場所を巡ることこそ、自転車の得意な世界なんだよなあと思いながら眺めていると・・・

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やはりここにも津波の跡があった。
この地区を通る国道のコンクリート橋も押し流されてしまったらしい。
この辺りの津波の映像も見たけれど、強烈過ぎて表現する言葉がない。

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これはJR気仙沼線の陸前小泉駅付近。
コンクリート製の高架橋も、一部が落橋していた。
駅の存在を想起させるものは、何もない。

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この辺りの景色、被災前は相当にきれいだったんだろうなあ・・・。
三陸の海岸美とよく聞くけれども、静かな入り江、ゴツゴツした入り江、伸びる砂浜と、いろいろな表情があって。
気仙沼線には乗ったことがないけれども、その車窓は見所だらけだったと思う。
それだけに、破壊された痕跡を見ると・・・。

気仙沼市街。
第18共徳丸が押し流されてきた一帯。

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何もないという印象はまだ拭えないけれど、道路はオレみたいに土地勘がなくても普通に走れた。
国道沿いしか走っていないけれど、信号やガードレールはどこも真新しくなっていたので、真っ先に機能回復されたのでしょう。
それに、国道沿いにはいくつかの仮設コンビニを見かけたし、本格的に再建している吉野家などもあった。
瓦礫の山もないわけじゃないけど、被災直後のように埋め尽くしていると言う状況は全くない。
本格的な復興が進んできていることを実感したね。

陸前高田の市街地に入る。
柱の影に、あの一本松が立っている。
高田松原の近くに建っていたホテルは解体されて、高台移転して再開を目指しているそうです。

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ツール・ド・三陸のメイン会場に到着。
やはりロードレーサーが多かったけれど、MTBやクロスバイクも目に付いたね。
関東界隈のレース会場で見かけるチームジャージの皆さんも見かけました。

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Google Mapのストリートビューを撮影する専用自転車がおりました。
今回のイベントの参加者の姿を撮影するのだそうです。

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スタート前のセレモニー。
ゲストであるグレッグ・レモン、山田玲奈さん、日向涼子さんの姿も見える。
マイクの前に立つネイビーブルーのジャージを来たご婦人はアメリカの方。
陸前高田で英語教師をしていた弟さんを津波で亡くされたそうです。
弟さんはこの地を第二の故郷と思っていたそうで、彼の愛した陸前高田を走ってみたいと参加したとのこと。
このご婦人自身、自転車歴25年の大ベテランであり、下りが大好きなのだそうです。

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スタートは10台づつの組になり、各組に主催者サイドのペースメーカー役のライダーが先導するという形態。
レースではないからね。
10台づつ順にスタートを切っていく。

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GPSログで恐縮ですが、コースはこのような感じ。
左端が陸前高田市街で、ここがスタートとゴールになる。

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ここから右の大船渡市向けて走り、碁石海岸や黒崎仙境などを回りつつ、陸前高田の海岸線を抜けて市街に戻るというコース。
距離は50km弱。

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スタートして間もない地点、陸前高田の海岸方面には何もない。
ただ、瓦礫の山がほとんど見当たらない状態になっている。

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平野部を抜け、高台に入る。
すると、軒先から我々に手を振る方々が。

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オレはレースをしないので、走っていて応援された経験はほとんどない。
何だか気恥ずかしさを感じる自分を認識する。

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同時に、被災地に足を踏み入れているという前日からの緊張も和らいでいく。

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陸前高田の集落を抜け、大船渡市へ向かう道。
海の向こうにも陸地が見えるのは、深く入り組んだ三陸海岸ならでは。
オレの生活圏である神奈川県の沿岸では見られない景色。

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大船渡市に入る。

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ここでも「頑張って~」という声援がかけられる。
走り出すまでは、まさか行く先々で声をかけてもらえるとは思っていなかったんだよね。
でも、実際に我々を笑顔で見送ってくれる方々がいる。
そう思うと、こちらも素直に手を振りたくなるわけですよ。

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最初のエイドとなる碁石海岸に到着。
ここは三陸海岸の名所の一つだそうです。
中央の巨大な岩と、右に見える岩壁が形作るの谷間は「乱暴谷」というらしい。

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その名前、言い得て妙。
写真にはうまく写し取れなかったけれど、岩の大きさは引力を感じるほどに大きく、崖の高さは吸い込まれそうなほどに高い。
天然の造形とは思えぬほどスパっと切り立った斜面が、その荘厳さを増幅している感じがする。

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子供の頃から、海を眺めていると吸い込まれそうになる自分を自覚しているのだけどね。
このような場所では一層強く感じる。

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この辺りを走っていると、来た事もないのに既視感がハンパない。
理由は明快で、三浦半島の毘沙門界隈の光景によく似ているからだね。
ただ、三陸のスケールは三浦よりも遥かに大きい。
懐かしさ半分、感動半分という気持ちで走っていた。

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相変わらず、沿道からは声援を頂戴する。
中でも、ここの皆さんは群を抜いてにぎやかでありました。
写真見る限り、仕込みもなされていたのでしょうか?(^^;

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しかし三陸の道は景色がいい。
今回走った海沿いの道は、自転車で走るのが一番だと感じた。
歩きでは遅過ぎ、車では速過ぎる
この景色と空気感に浸るなら、自転車が一番。
それを思った時、「自転車でしか見られない景色」という言葉を思い出した。
自転車を始めた頃はそれを走るたびに感じていて、それが自転車に乗る喜びだった。
いつから忘れたのかも覚えていないけれど、原点を一つ思い出したのは嬉しいことだったね。

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途中、学生さんと思しき海外からのグループに出くわす。
さすがに陽気で、大きな声で絡んでくる(笑
彼らも復興ボランティアなのだろうか?

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建物があれば、そこには誰かがいる。
こちらも声を掛けられることにも慣れてきて、転ばんばかりに手を振り返す。
このやり取り自体が既に嬉しくなっていたね。

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走っている最中、市内には我々が走っていることを知らせる放送が何度か流れた。
だから通行に注意してというのではなく、応援しましょうという内容だった気がする。

道を進むと、眼前にたくさんの大漁旗がドーンと現れた。
ウチの地元にも大漁旗はあるけれど、こんなにたくさんの旗を見るのは初めて。
その華やかさにはびっくりした。

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これは参加した皆さんも感激だったようで、ゲストの山田玲奈さんも記念撮影しておりました。

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三浦半島を壮大化した印象の三陸海岸。
海岸にこんな大きな木が生えている辺りは、三浦とは違う所だね。
ウチの方はススキだらけなので、海を見た後に林間を走るのは新鮮だった。

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「あ、来た来た」
と手を振ってくれるのは本当に嬉しい。
被災された方々を励ますはずが、逆に励まされるという状況。

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お巡りさんまでニコニコと。
パトカーに乗ったお巡りさんにまで手を振られたのは初めての体験。
そして、ああそうかと気が付いた。

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我々がここに来て、こうして皆さんと感情交換をすること自体に意味があるわけだ。
励ましにしろ、応援にしろ、コミュニケーションは相手があって初めて成立するもの。
オレが一人でどうこう考えても答えが出ないのは当然。

陸前高田の海岸線に入る。
静かな入り江は、津波が来たとは信じられないほど穏やか。

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しかし、ここにも津波は襲ってきたんだな・・・。

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何もない場所で、子供達が手を振ってくれた。
お年寄りが多かったけれど、若いお母さんや小さなお子さんもたくさんいたのが印象的。

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人の良さを知り、自然の脅威を知る。
それが交互に現れる道程。
こんな立派な防波堤が破壊されるとは・・・。

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ウチの地元もそうだけど、海辺の町は波静かな所にあるもの。
だから、陸前高田の海も普段はご覧の通り。
これがまたキレイなんだよね。

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津波に襲われ、大量の塩気を含んだ土地になったと報道されていた。
でも、花も咲いていた。

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この通り、黄金色になった見事な水田も広がっていた。

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陸前高田市街地の中心部へ向かうと、まだ瓦礫が積まれていた。
でも、瓦礫の山を見たのはこの周辺だけだった気がする。

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更地にポツンと残されたビル。
屋上に何か書いてある。

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書いてあるのは、あの高さまで津波が襲ってきたという目印。
文字通り、目を疑った。
ビルの前に立つ人から、その巨大さを比べてみて欲しい。

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実は私も被災者なんです。
一緒に走ってきた釜石のトライアスロングループのお一人が口を開いた。
実はこのキャノンデール、あの日の津波で一度流されてしまったらしい。

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しかし後日、瓦礫の中から自転車が見つかったという知らせがあったそうな。
フレームに名前が書いてあったのが幸いしたそうです。
そのまま乗れる状態ではなかったけれど、馴染みのショップさんの修理で見事に復活。
本当にそんな奇跡があるんだねえ・・・。

広場らしき場所に案内された。
やけに広い道路がドーンと通っている。

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この広場は、陸前高田駅の跡地。
語り部の方が、被災前の航空写真を見せてくれた。
左下に駅があり、周囲には町並み。
今は何もない。

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衝撃的だったのはこの写真。
どこにでもある普通の駅前風景。
この写真はこの場所から撮ったものですよ。
え??

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絶句モノだったよ。
語り部さんの持つ写真と、この写真の視線はほぼ一緒なんだよ。
写真の中の生活感のある平和な駅前商店街が消えている。
その落差がショッキングだった。

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この写真を見ると、周囲の人たちも絶句していた。
絶句するような災禍が、この地を襲った。

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陸前高田駅のホーム。
今は線路も外されている。

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初めて見た者にとっては想像を絶する光景、本来の三陸海岸が持つ美しさ、そして現地の人との交流。
50km弱という距離ではあるけど、含まれたものは多かったよね。
最後はまたまた人々の笑顔で迎えていただき、今回のツール・ド・三陸は終わった。
悶々とした思いを抱えて走り始めたわけだけど、走り終えて自然と湧き上がってきた思いが2つある。

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一つは、三陸海岸は自転車で訪れるのが一番だと言うこと。
あの海岸美を噛みしめるには、歩いたら遅過ぎるし、車では速過ぎる。
今回走ったコースに限って言えば、アップダウンはさほど厳しくはない。
人並み外れて登りが遅いオレが言うのだから間違いないです。

もう一つは、ツール・ド・三陸には可能な限り参加していきたいということ。
瓦礫がなくなり、更地になった土地がどう復興していくのか?
一人の自転車乗りの記録として、その様子をネット社会の片隅で発信することは意味があるんじゃないか?
という考えが自然と湧いてきた。
勤め人なのでボランティア活動はできないまでも、何かお役に立ちたいという思いを向ける場所をやっと見つけた気がする。
オレ自身がこの先どうなるか判らないけどね、今はそう思っていますよ。
それくらい得難い体験だったと思うし。

今回の旅路でお世話になった方々に、感謝致します。

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